音左右衛門のソラミミ

良き音に、ずっと浸っていたい

オンラインレッスンの機材

オンラインを利用したリモートワークはご存知のようにここ1年の間に急速に普及しました。すでに普段の仕事などで使っている方も多いと思います。

一方ミュージシャンにとっても大げさでなくこの1年は「オンラインとのたたかい」でもありました。多少機材やパソコンなどでの配信の知識があっても、画面越しに音楽をどう伝えるかは思った以上にハードルが高く、エネルギーを使います。実際にライブ配信もオンラインレッスンも、「家にいながら音楽活動」はラクなようで、終わった後の疲労感はむしろオンラインの方が大きいこともあります。

 

オンラインでの音楽のやりとりは「つながらない」「音が出ない」「音質がちょっと」…1つのトラブルでも大きなストレスになります。なので少しでもストレスを取り除くためには、プラスの要素…特に「楽しさ」を見つける、多少のトラブルも楽しめるくらいのメンタルも持ちたいところですが、ある程度良い機材を持っておくことで、安心感をより保ちやすくなります。

 

前回は「配信」についての機材を考えてきましたが、今回は「オンラインレッスン」にしぼってみたいと思います。配信よりもずっと少ない予算で揃えることができます。オンラインレッスンは1対1もしくはグループで

 

講師
カメラつきパソコン wi-fiまたは有線LAN
受講生
カメラつきパソコンまたはスマホタブレット wi-fiまたは4G以上の回線

 

という環境で行われている場合が多いと思います。実はこれだけでレッスンは可能です。中には現在も「お互いのスマホだけ」でオンラインレッスン環境を構築している講師の方もいらっしゃるでしょう。

 

ただ自粛ムードが薄れてくればオンラインレッスンは途端に「いまさら感」が強くなり下火になりがちです。例えば生徒さんに案内した際に「いや~オンラインは苦手ですよ」「レッスンできるようになったら教えてください」と最初に言われてしまうとしたら、そこからの道のりはかなり大変です。


でもオンラインレッスンは決して「非常時のつなぎ」ではありません。いざリアルレッスンができたときにスムーズに入りやすいのはもちろんですが、「平常時」であってもオンラインでできます。「設定が面倒くさい」という意識をいったん置いておいて、機材1つ足してみて「あっ音が良い!」という体験ができれば案外苦手意識がなくなり、リアルレッスンとオンラインレッスンをうまく両立できる可能性もあります。いつも動画サイトで観ているミュージシャンと直接つながることもできるかもしれません。   

 

一方、講師側も「誰かに自分の技術や知識を伝えられる」というのは、この不安定な状況でこそ、大きなモチベーションを与えてくれます。良い環境で接続&継続するために、なるべく良い状態にしておきたいところ。カメラつきパソコン、wi-fiまたは有線LANを基本として、少ない手間でセッティングするならこの機材がいいのではないか、というものを紹介します。もちろん、受講される方もこうした機材を持っているとレッスンをより良い環境で受けられるだけでなく、演奏を良い音で録音できますし、普段聴いている音楽の音質向上も期待できます。

 

これまでの記事で書いた「マイク」や「オーディオインターフェイス」も含めて、「オンラインレッスン向き」と思われる機材をピックアップしています。一部の機材は、筆者のホームページでも「推奨機材」として掲載しているものです。

 

なお、通常の通話も含めてミーティングアプリでつないだ場合はかならず「遅延」が発生します。「せーの」で手を叩いたり歌ったりしても「双方でタイミングが合う」ことはありません。

 

でも逆手にとれば、この「遅延」こそがオンラインレッスン向きだともいえます。講師が最初に見本をやって「これやってみて」と受講生がその場でトライしてみる、という伝統的な稽古の手法でレッスンできるからです。最近はYAMAHAの「SYNCROOM」のように時差なしでリモート共演ができるシステムもありますが、あくまで「お互いの音が良く聞こえる」が第一条件となります。

 

 
1.USBマイクとヘッドホンで構築する場合
音楽再生 〇 ※ヘッドホンが必要
ビデオ通話 〇
オンラインレッスン ◎
スマホタブレット使用 △ ※一部機種のみ対応
演奏の録音 〇
演奏の配信 〇 ※ループバック機能があるのはRevelatorのみ
リモート同時演奏 △

proaudiosales.hibino.co.jp

 

www.mi7.co.jp

USBマイクなら、前回の記事でも紹介した「AKG LYRA」か「Revelator」がいいと思います。ループバック機能(後述)が必要ないなら「LYRA」はiPadなどにも接続できるのでおすすめです。ただしLightning端子の場合は別途USB3カメラアダプタで電源供給が必要です。

Revelatorは現段階ではパソコンでのみ使用可能ですが、ASIOドライバに対応しており、ループバック機能(例えばPCでカラオケ音源を流してそれに合わせて配信をする機能)もあります。SYNCROOMでの接続にも向いています。

 

(開放型ヘッドホン)

proaudiosales.hibino.co.jp

 

(密閉型ヘッドホン)

www.audio-technica.co.jp

 

なおUSBマイクを使用する際にはヘッドホンが必要になります。ヘッドホンには「開放型」と「密閉型」があり、開放型は背面にメッシュ状の穴が開いていて音が外にも漏れます。その分高音域も自然な感じで抜けて耳への負担が少ないタイプです。一方密閉型は遮音性に特化しているので低音域をしっかり感じられます。環境やお好みに合わせて選んでみてください。

 

2.オーディオインターフェイスコンデンサーマイクで構築する場合
音楽再生 ◎ ※ヘッドホンまたはスピーカーが必要
ビデオ通話 〇
オンラインレッスン ◎
スマホタブレット使用 〇 ※一部機種は非対応
演奏の録音 ◎
演奏の配信 ◎
リモート同時演奏 〇

www.steinberg.net

 

kcmusic.jp

 

これから揃える場合は最小限の投資でシステムを構築できるセット(パック)が便利です。ただこれらのお得なセットは入手困難な状況が今も続いており(新しいセットのリリースもないので)、その場合は「オーディオインターフェイス」「マイク」「ヘッドホン」「マイクスタンド」「(必要に応じて)スピーカー」を別々に購入する必要があります。

 

特に「オーディオインターフェイス」についてはこの1~2年でどんどん新製品が投入されているので、詳しくはこのブログで以前書いた記事「オーディオインターフェイスは消耗品なのか」「コンデンサーマイク最初の1本」もご参照ください。場所はとりますが、ここまで揃えるとパソコンのオーディオ環境も飛躍的に良くなります。USBマイクのように接続すればOKという手軽さはなく、セッティングもやや複雑になりますが、一旦設定できてしまえばきっとスマホでのレッスンには戻れなくなります。

 

それぞれの○×評価は用途ごとに「向いている」「向いていない」「利便性」で分けているので、必ずしも品質を表したものではありません

 

参考記事

otozaemon.hatenablog.com

otozaemon.hatenablog.com

 

3(番外編)スピーカーフォンで構築
音楽再生 〇
ビデオ通話 ◎ ※音声のみの評価
オンラインレッスン △ ※楽器により向き不向きがあるかも…
スマホタブレット使用 〇 ※一部Bluetooth非対応機種あり
演奏の録音 △
演奏の配信 ×
リモート同時演奏 ×

 

www.audio-technica.co.jp

 

www.poly.com

 

ちょっと番外編ですが、最近はオンラインミーティング用にいろいろなメーカーから「スピーカーフォン」というものが発売されています。「スピーカー」と「マイク」が一体となっていて、USBなどでパソコンにつなぎ、全方位から音を拾うので会議室でも使用できる、というものです。

 

もし全員が同じ部屋でZoomなどのミーティングアプリに接続してパソコンのスピーカーやマイクがonになっていたりするとハウリングが発生して大変なことになるので、声の出入りを1つにまとめられる、という点で安全かつ高音質で発信できます。なによりヘッドホン(ヘッドセット)がいらないので髪型を気にしたり不意の大音量でびっくりすることもありません。

 

スピーカーフォンは楽器演奏用の機材ではない(少なくとも広告のイメージ写真には1枚も登場していない)ので、実はこれまであまり意識していなかったのですが、ヘッドホンを使わずにできるというのはけっこうポイントとして大きいのではないかと考えるようになりました。声でのやりとりがメインのレッスンなどにはかなり効果的でしょう。私も打ち合わせ用に一台欲しいところです。もし使ってみてよかったら追記したいと思います。持ってもいないのに○×評価をしてしまいすみません、現段階ではあくまで機材の特性からの推測(ソラミミ)です。

 

音響メーカーではYAMAHAが以前からスピーカーフォンを出していて、2021年6月にオーディオテクニカがお求めやすい価格のモデルをリリースしてきました。スピーカーフォンは全体的に8人までとか、複数でテーブルを囲んだ会議を想定した製品が多いですが、このところ1人のデスクワークでも使えそうなサイズ感の製品も増えてきています。ヘッドセットで有名なPlantronics改めPolyやJabraなども積極的にリモートワーク向けの機材をリリースしています。

Bluetoothスマホタブレットにも接続できるので、普段からスマホで音楽を聴いたり、動画を視聴することも可能です。

 

パソコンのWebカメラについて

 

デスクトップパソコンしかない場合やノートパソコンの内臓カメラの画質がちょっと…という場合はWebカメラの使用をおすすめします。

・専用のWebカメラ
デジタルカメラWebカメラ機能
・カメラのHDMI出力をキャプチャー

の3つの方法があります。デジタルカメラのWebカメラ機能は2020年にWebカメラが品薄状態になった際に各メーカーが対応しました。幸運なことに筆者愛用のカメラも対応していたので本当に助かりました。

一方HDMIキャプチャーはカメラの映像をパソコン上で映せるもので、さまざまなタイプもあります。専用のWebカメラより高い場合もありますが、買ってしまえば配信機材との共用も可能です。

ただし「Webカメラ機能」は最近の一部機種に限られている場合が多く、「HDMIキャプチャー」はセッティングにもやや時間がかかります。何より電源を長時間つけっぱなしにする必要があります。もし新しく手に入れられるなら専用のWebカメラ導入を検討してみてください。

 

ネットで検索すると各メーカーから2,000円~3,000円台のカメラが大量に出てきますが、ちゃんとした映りを求めるなら、ちょっと高値になりますが

Creative Creative Live! camera  (v2が出たので初期型がお買い得)
Logicool  C922n / C980(周辺機器メーカーの中ではやや高級)
※C980はUSB-typeC接続
Razer Kiyo pro(ゲーマー向け)
Poly P5 (Plantronics改め)

あたりがいいと思います。もし自分が今後導入するとしたらPolyのカメラを検討しています。

jp.creative.com

 

www.poly.com

 

 

配信機材について、今からでも考えてみる

気が付けば8か月ぶりの記事となりました。(オーディオインターフェイスマイクについての記事は時々アップデートをしていますので、またご覧ください)この間一時的に演奏活動を再開できたりもしましたが、まだまだきびしい状況は当分続きそうです。

イベントをおこなうにしても準備期間が2週間~大規模なものなら半年前、1年前から準備が必要になるので、せっかく準備してきたのにまた土壇場で開催できなくなったり、開催できたとしても到底採算が合わないという不安やリスクが常にあります。「はい、解除されたのでどうぞ感染対策しながらライブやってくださいね」と言われて来週できるわけがありません。

 

そこで、多くのミュージシャンが2020年以降さまざまな方法で「ライブ配信」をおこなってきました。私もいくつかのソロライブを開催したり、有観客&同時配信のライブに呼んでいただいて演奏することができました。ライブの生配信や録画配信は感染対策であることはもちろん、さまざまな事情で会場に足を運べない方にも音楽をお届けできる、とても素晴らしいシステムだと思っています。

 

一方で、これは別のリスクを呼び込みます。例えば無料配信をして、投げ銭をいただく、という方法は当初は効果がありましたが、長期的に成立するモデルではありませんでした(過去形)。動画を無料で観られてしまうというのは、ユーザー(お客様)にとっては最高ですが、発信者にとっては諸刃の剣です。ファンが増えて、CDを買ってみようか、事態が収束したらライブに行きたい、あるいは共演したいと多くの方が思ってくださったらという夢はありますが…

さらにPCやスマホへの配信を視聴いただくということは、その端末で観ることができる膨大な動画コンテンツ(YouTubeだけでもこの状況にガチで取り組む超有名アーティストやユーチューバーの方々、私も利用している無料または定額の動画配信サービスなど)と同じ土俵に挑むことを意味します。

 

例えばこれまでのライブでは当たり前のようにいただいていたチケット代3,000円、いや半額の1,500円であっても、ライブ1回の視聴のために使っていただけるか…これはたとえ身内やファンであっても大変なことです。

 

これは単に値段の問題ではなく、そもそもライブの楽しみというのは、その場で1度かぎりの音楽をじかに楽しむだけでなく、そこに居合わせた人々の出会いや再会、ライブ前後の美味しい食事や景色、そこまでの移動(時には旅行)と…すべてセットであることを、みんな知っているからです。

 

どうしても経済的な話ばかりになってしまい申し訳ないのですが、これから配信をビジネスとして始めて収益をあげるというのは、ラーメン店を新しく開業して繫盛店にするのと同じくらい難しく、実力と運が試されるギャンブル性の高い事業かもしれません。

 

なので、配信をするなら、収支のことはとりあえず置いといて「まず自分が楽しんで、その姿を楽しんでもらおう」「遊びながらスキルアップ」「トラブルも織り込み済みで」くらいにとらえる方が、絶対にいいです。それに機材を一度揃えてしまえばランニングコストは通信費くらいなので、ギャンブルはギャンブルでも失敗したときの経済的損失は少ないです。演奏やトークの良し悪しでどう評価されるかは、ライブだろうと配信だろうと同じですし、あとは良い音質、良い画質で安定した配信を心がければOKです。

 

まずは「録画配信」から

…勢いあまってついサラっと書いてしまいましたが、その「安定した配信」が、ライブ配信では最も重要な部分だと思います…。「音声が聞こえない」「音がずれる」というトラブルはどんなに慣れた方でも一定確率で発生することなので、演奏に集中できない第一の原因となりえます。

 

まずは動画配信に慣れる意味でも、「収録した動画を公開する」ことをおすすめします。トークや演奏の動画を撮影して編集し、動画サイトやSNSに投稿するという、従来からある発信方法です。これまでにご紹介した機材や、ライブ用の機材にカメラとパソコン、そして十分な作業時間があればなんとかできるようになります。

 

生配信にトライする

これが「生配信」となると難易度が格段にあがります。Web広告で「USBマイク1本で気軽に生配信!」という記事をちらほら見ますが、トークの生配信ならまだしも、演奏しながらのワンオペでの生配信(セルフで演奏も配信作業もこなすこと)はかなり難しいです。知人のミュージシャンで何人かワンオペで生配信している人がいますが、本当にすごいことをしていると思います…。

さて、以前の記事で2回ほど「音楽のライブ配信」に必要なものについてリストを書きましたが、

 

超シンプルなシステムで組む場合

スマホ

 

それ以外の場合

・ビデオカメラ

HDMIキャプチャー

・スイッチャー(カメラの切り替え・HDMIキャプチャー内臓タイプあり)

・オーディオインターフェイス(スイッチャーがあればなくてもOK)

・パソコン (1~2台)

スマホなど(モニター用)

エンコーダー(ストリーミングソフトなど)

・照明(できれば)

HDMIケーブルなど各種ケーブル

・マイクやミキサーなど、編成や規模に応じて「ライブ用」「レコーディング用」の機材を適宜

・ネット環境(できれば光回線の有線LAN)

 

今見るとかなりざっくりなリストでしたが、この1年でとりあえず揃えてみました…。配信用に新しく購入したのはカメラ2台(ビデオカメラとミラーレスカメラ)・スイッチャーとHDMIキャプチャー、録音・配信に対応したミキサーです。今後の制作環境を強化するためにマイクとオーディオインターフェイスも新調しました。実はこの「音左右衛門のソラミミ」を書くことで、私自身がかなりマインドの整理をさせてもらっている気がします。

 

USBマイクだけで配信するなら

この1年、すごい勢いでリリースされている機材の1つがUSBマイクです。オーディオインターフェイスを介さずに直接パソコンやスマホにつないで高音質で配信できる本当に便利なアイテムです。私も1つ導入しています。

 

ポイントは

・使い勝手の良さ

・マイクの音質

・価格

・USBデバイスとして認識されるか、オーディオインターフェイス一体型か

 

の4点になります。自宅で卓上にマイクを置いてライブ&トーク番組のように放送するにはこれで十分かもしれません。オンラインレッスンにも最適です。

 

proaudiosales.hibino.co.jp

 

ドイツの有名な音響ブランド「AKG(アーカーゲー)」が出したLYRA(ライラ)はUSBマイクの市場を一気に広げた立役者かもしれません。指向性を4段階に切り替えることができます。<正面のみ(指向性)・正面ワイド・正面と背面(双指向性)・全方位(無指向性)> 

 

ただしUSBマイクには大きな弱点があります。多くのUSBマイクが、「ドライバ不要、つないですぐ使える」ことを売りにしていますが、このドライバがないことで、どうしてもレイテンシー(遅延)が発生しやすくなります。例えばパソコン上で音を鳴らしながらそれに合わせて演奏する、あるいはYAMAHAのSYNCROOMにつないでリアルタイムでセッションするのには向いていません。

 

そこへきて、最近はオーディオインターフェイス一体型のUSBマイクもリリースされるようになってきました。

 

www.mi7.co.jp

 

少し高くなりますが、すぐにでも試してみたいのがPreSonusの「Revelator」というマイク。USBマイクでありつつオーディオインターフェイスとしての機能(PCの音に合わせて演奏できるループバック機能含む)を備えており、音の遅れ解消と安定性を得るのに重要なASIOドライバ(Windows)に対応しています。

 

カメラを選ぶ

次に、映像配信に欠かせないのがカメラ。これはもう考え方の問題で、「音を優先するか」「映像を優先するか」の2択で選ぶしかありません。「映像を優先」さらに「音も映像もしっかり」となると、かなりの投資が必要になります。

 

画質については現在販売されているカメラはほぼ全てHD(1080pまたは720p)以上の画質なので、ポイントとなるのは、

 

(配信の場合)
HDMIスルー出力機能があること
(録画の場合)
・動画の連続撮影時間
(配信・録画共通)
・カメラのセンサーの大きさ
・バッテリーが大きい または 外部給電ができること

の4点になります。

 

HDMIスルーというのは、カメラに写っている映像(スタンバイ画面または録画画面)をそのままHDMIケーブルで出力できる機能です。重要なのはカメラの液晶モニタによく映る表示(感度や時間、オートフォーカスの四角など)を完全に消した状態で出力できること。2014年以降発売のカメラで、ある程度以上のクラスのカメラなら、だいたい条件を満たすと思います。

 

zoomcorp.com

 

「短時間の収録」または「配信専用」と割り切るなら、かなり選択肢があると思います。ちなみに一番安価なのはZoomの「Q2n-4K」という機種で、もともとハンディレコーダーなので高音質保証、HDMIスルー出力、USBでの給電にも対応しています。

 

 

 

また高画質のアクションカメラとして定番の「Go pro」シリーズはどちらかというとMacユーザー向けという印象でしたが、最近はWindowsへの接続にも対応してきています。1カメのみでしたらWebカメラとして接続できますが、HDMI端子から出力するには別売のメディアモジュラーが必要となります。

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さて、ここからは高価格路線になります。ミラーレスカメラで録画する場合は、動画の連続撮影時間を確認する必要があります。ライブをまるごと撮影するなら、少なくとも1時間以上連続撮影できる機種が欲しいところ。これまでミラーレスカメラのほとんどは輸出時の関税の問題で(30分以上はビデオカメラのカテゴリーになるため)29分59秒までしか撮影できませんでしたが、多くの動画クリエイターがビデオカメラよりもミラーレスカメラを使用するようになったことから、上位機種では動画の時間制限もなくなりつつあります。かねてから言われていた、熱で停止してしまうという問題も、技術の向上で解消されてきました。

 

筆者が調査した範囲で、2021年5月現在 「120分以上の連続撮影ができるカメラ」は

 

◇ビデオカメラ(SONY / Panasonic / Victor )

現行モデルはほぼ全てOK

(センサーサイズは1/5.8型~1型)

 

◇コンパクトカメラ

SONY(1型センサー)

ZV-1

RX100m7

 

◇ミラーレスカメ

SONYAPS-Cサイズ)

α6100

α6400

α6600

SONY(フルサイズ)

α7C

α7R Ⅳ

α7S Ⅲ

FX3

α1

 

Panasonicマイクロフォーサーズ

G99

GH5

GH5 Ⅱ(2021年6月発売)

GH5s

Panasonic(フルサイズ)

S5

S1

S1R

S1H

 (それぞれ上がお手頃→下に進むにしたがって最新または高級機になります)

 

panasonic.jp

 

Fujifilm(中判センサー)

GFX100s 

 

◇参考 センサーサイズの比較

1/2.5型=5.7mm×4.3mm

1型=13.2mm×8.8mm

マイクロフォーサーズ=17.3mm×13.0mm

APS-C=23.6mm×15.8mm

フルサイズ=36mm×24mm

中判=43.8mm×32.9mm

 

定点カメラで長回し、2カメ、3カメ以上使うのであれば、ビデオカメラがコストや操作性の面で断然優位になるでしょう。

 

ただし「○○倍ズーム」をうたっているビデオカメラはセンサーサイズが小さく、暗くなりがちで室内ではとても不利です。配信でビデオカメラを使うと高感度撮影モードでノイズがのったりして「うーん」となったりします。

 

ビデオカメラは「子どもが生まれてから~運動会や発表会を撮影するカメラ」のイメージがあまりに定着してしまい、そのニーズはほぼスマホに取って代わられてしまいました。業務用こそ定期的にリリースされていますが家庭用ではここ2年ほど新製品がないという状況みたいです…。

 

筆者は基本的に「餅は餅屋」の考え方なので、動画はなるべく「ビデオカメラ」で撮影したいところですが、やはり明るさがネックになるため、もともと写真用に買ったミラーレスカメラ(APS-C)を動画用に(30分以内で区切りながら)使っています。画質は素晴らしいので重宝しています。ただ本来の使い方でないかも…とどこか頭の片隅にあるのも事実です。

 

それでもミラーレスカメラは現在は動画制作の主流になっているので、もし映像コンテンツを増やすなら思い切って投資するのも十分ありです。現状ではSONYPanasonicが動画機としての地位を二分しており、それぞれのユーザーがたくさん動画をアップしていますので、「(メーカー 機種名) 配信」で検索してみてください。

 

大きいセンサーになるほど光を多く取り込み、表現の幅が広がるのでプロユース向け、そして「フルサイズ」という言葉の魔力にぐらつくこともあります。ただし、ズームをしようとするとどうしてもレンズが巨大になり重くなります。この市場にはプロのカメラマンや投資を惜しまないハイアマチュアの方があふれていますので、とにかく本体もレンズも価格が高いです。長く情報を集めていると金銭感覚が壊れてきますので注意してください。

 

ちなみにコンパクトカメラやミラーレスカメラでの連続撮影時間はあくまでカタログ値なので、撮影環境や設定により、バッテリーの交換または外部給電が必要になる場合があります。

 

外部給電する場合、全体的にはSONYの方がしやすそうな印象です。USBでの給電機種(ACまたはモバイルバッテリー対応)が多いのと、Panasonicのアダプターがやや入手困難な状況と思われるからです。ただPanasonicも2019年にリリースされたフルサイズの「Sシリーズ」以降、多くのカメラでUSBでの給電が可能になり、2021年リリース予定のマイクロフォーサーズの「GHシリーズ」の後継機(GH5 Ⅱ)でもUSB給電ができるようです。※GH6は詳細未定

 

機種を選ぶ

◇ビデオカメラ
ビデオカメラだけでシステムを構築するなら、メインカメラをセンサーサイズの大きいSONY AX100かAX700、2カメ以降をズームが効くAX45や4万円以下の廉価品や旧モデルで固めるのが堅実かもしれません。何よりもAC給電で長回し、ほったらかしても大丈夫という代えがたい安心感があります、後から高いカメラを買っても活用できます。

 

◇コンパクトカメラ
2021年5月時点で「最初の1台」を選ぶなら、コスパ重視、配信・動画撮影・WebカメラとオールラウンダーなSONYの「ZV-1」かもしれません。RX100シリーズで培った技術を動画に特化させて、オートフォーカスが早く、動画も無制限、USBで給電もできて(発熱のみ注意)、何より小さいので扱いやすそうです。音楽仲間も導入していて、というか自分も欲しくなってきました…。ちなみに手持ち撮影するなら、グリップとバッテリーが+1個ついたセットがむしろお得です。

 

 

◇ミラーレスカメ
長時間連続撮影ができるミラーレスカメラでもっとも求めやすいのはパナソニックのG99、あと生産完了品ですが動画クリエイターから圧倒的な支持を受けたGH4やG8はしばらく市場に残っているので今がラストチャンスでしょう。ソニーならα6000番台で最新のα6100・α6400α6600です。

もし予算が許せば、PanasonicのGH5シリーズかS1シリーズ、SONYならα7シリーズの中でも高感度で暗所に強い最新のα7S Ⅲ、αシリーズをベースに動画専用に開発されたFX3でしょう。ちなみにGH5s、α7SⅢ、FX3は動画向けのため画素数をあえて少なくしています。

最初に書いたように連続撮影にこだわらない、HDMIスルーができればOK、というのであれば選択肢は限りなく広がります。ただカメラは電源を入れているだけで本体が熱くなるので、HDMIスルーでも熱くなることが考えられます。実際に家族のミラーレスにHDMIをつないだところ、何もしなくても本体が熱くなってしまい30分程度で自動停止してしまいました(ファームウェアの問題かもしれませんが…)。長時間撮影ができるカメラ=放熱がしっかりしていてつけっぱなしでも熱停止しにくい、という一種の保証のようなものかもしれません。

 

ちなみに筆者は5年前に買ったFujifilmの「X-pro2」を使用しています。もともと写真に特化しているので動画の長時間撮影もHDMIスルー出力もできませんが、とても気に入っているカメラなのでWebカメラ、収録、ライブのスチール写真と使える範囲でフル活用しています。というかFujifilmユーザーの筆者としては120分連続撮影が可能な「GFX100s」にはかなりぐらついている、というより本命でもあります…。スペックで考えれば驚異的なコスパといわれていますが、レンズや周辺機器合わせて100万コースです。

 

fujifilm-x.com

 

※2021.8.20追記
ソニーから新しいVlogカメラ「ZV-E10」が発表になりました。ミラーレスカメラのα6000シリーズをベースに作られていて、映像に特化したモデルでありながら機能を絞ったためミラーレスの中で最も安価になっています。正直かなり揺れています。動画の連続撮影時間は80分だそうですが、途中休憩のあるライブ配信なら十分使用可能。ただレンズ交換式なので、この安さはもっと性能の良いEマウントレンズやαシリーズのカメラが欲しくなるための(いわゆる「沼」に誘うための)ソニーの戦略でしょうか…

 

外部レコーダーに送る

ちょっと業務用機材の領域に入りますが、カメラからHDMI出力したデータを外部レコーダーに送るという方法もあります。30分以内しか録画できないカメラの動画機能を拡張したり、バックアップできるというもの。Blackmagic DesignとATOMOSというメーカーがそれぞれHDモデルや4K対応モデルを出しています。いずれもHDMIスルーできるのでスイッチャーやパソコンの間に挟めばOK。ただし録画されたデータは「ProRes」という形式で、主要な動画編集ソフトでの編集を前提としており、これを買うなら動画編集ソフトもちゃんとしたものを…となります。値段もカメラ並みに高いですが、連続撮影できるなら、そうでもないかもと思ってしまうのがなんとも…

 

ビデオスイッチャーとHDMIキャプチャー

ビデオスイッチャーはその名の通り、複数台のビデオを切り替える機器です。個人で扱うならHDMI4入力までの機器が良いと思います。例えばカメラ2~3台+スマホタブレットをつないで静止画などを挿入することができます。本格的なライブ配信をするなら必須の機材となります。少しでも長い時間の動画を生配信する場合、1つの定点カメラではなく、複数のアングルがあるって、けっこう重要なことです。

 

ここで注意が必要なのは、スイッチャーには、「そのままパソコンに接続できるスイッチャー」と、それだけではパソコンとはつながらず「HDMIキャプチャーが別途必要なスイッチャー」の2種類があるということです。ややこしいのは同じメーカーが両方のタイプを微妙な型番の違いで扱っていて、USB端子があると思ったらそれは「リモートコントロール用」「ソフトのアップデート用」だった…ということもあります。けっこう高額な買い物になるので慎重に選んでください。

 

USBでPCにつながるスイッチャー

 

ATEM mini pro

www.soundhouse.co.jp

 

2020年、どれだけの表現者がこの「ATEM miniシリーズ」に助けられたことでしょう。3万円台から手に入るビデオスイッチャーとして、メーカーであるBlackmagic Designの動画配信の市場での存在感が一気に高まりました。

 

特長はなんといってもそのシンプルさ。レバーのついたスイッチャーの操作にはある程度の熟練が必要と思われていますが、Atem miniシリーズは1カメ~4カメをボタンひとつで切り替えられます。あくまで「mini」なので各種ボタンがとても小さいですが慣れれば大丈夫です。PC上でもソフトを入れて業務用スイッチャーのようにコントロール可能です。

 

ATEM mini シリーズは2021年春の時点で

・ATEM mini

・ATEM mini pro

・ATEM mini pro ISO

・ATEM mini Extreme

・ATEM mini Extreme ISO

 

の5種類があります。主な機能の違いは

 

・ATEM mini
HDMI4入力と1出力、USB Type-C(2.0)接続

☆ATEM mini pro
パソコンに負荷をかけず単独で配信が可能・MIXした映像を記録・USBType-C(3.1)接続 

・ATEM mini pro ISO
5系統(4入力それぞれ+MIXした映像)を記録

・ATEM mini Extreme
HDMI8入力と2出力 USBType-C(3.1)×2 (記録はMIX映像のみ)

 ☆ATEM mini Extreme ISO
9系統(8入力それぞれ+MIXした映像)を記録

 

※映像の記録にはUSB Type-Cに別売のポータブルSSDを接続

 

上位機種になるにつれ、使える機能が増えていきます。☆印の機能と価格のバランスがとれた「pro」、とにかく使えるチャンネル数を増やしたい方には「Extreme ISO」がおすすめです。なお映像をポータブルSSDに記録する際にはUSB-TypeC端子がふさがってしまうので「pro」「pro ISO」の場合はHDMIキャプチャーを別に用意する必要があります。 

HDMIキャプチャーが別途必要なスイッチャー

 

Black magic designの前に、「ビデオスイッチャーは50万円以上する業務用機材」のイメージをくつがえしたRoland。さすがどの分野にも先陣を切る姿勢がすごいと思います。思えばUSBで接続するオーディオインターフェイスやポケットサイズのリニアPCMレコーダーも、ローランドが先駆けでした。

 

2015年に登場したキャプチャーV-1HDをアップデートさせた「V-1HD+」(2020年発売)はHDMI4入力と2出力、さらにオーディオ入力も充実しているモデルです。質感も良く、プロ仕様の機材をコンパクトにまとめただけあって、使いこなしてみたい衝動に駆られる逸品です。

 

ただ、このキャプチャーに入力した映像をパソコン経由で配信するにはHDMI出力を1系統使って、そこに別途HDMIキャプチャーを使う必要があります。Rolandの他のビデオスイッチャーにはUSBで直接パソコンに取り込めるタイプ(VR-1HDVR-4HD)もありますが、若干レートが低くなります。ちなみにフラッグシップモデルのVR-50HD MK IIまで行くと完全に業務用なので、ミュージシャンが個人で所有するのはなかなか大変です、というか金銭感覚がマヒしてきます。

 

ちなみにHDMIキャプチャーについて、現在出回っている多くのキャプチャーは「オンラインゲーム実況配信」をするユーザー向けの「ソフトウェアエンコーダー」のキャプチャーで、快適に動作させるためにはそれなりのPCスペックが求められます。

RolandからV-1HD+と同時期に発売されたHDMIキャプチャー「UVC-01」はハードウエアエンコーダ―で、パソコンに負荷をかけず安定動作しやすいとされています。ただし基本的に遅延は起こりやすいので、音声と映像をあらかじめスイッチャーにまとめて調整することで「ずれ」を防ぐか、TASCAMの「Model12」のように0~2000ms(2秒)まで音を遅らせて出力できるミキサーを使うといいと思います。

 

なお、配信用のソフトウェア(OBSなど)でも仮想スイッチャーをたてて使うことができるので、USBポートがたくさんあるデスクトップパソコンに、例えばHDMIキャプチャー接続のビデオカメラやWebカメラを複数台つないでしまうことも可能です。音ずれの調整もOBS上でできますが、もしワンオペで行うなら、個人的には物理的に切り替えられるスイッチャーやミキサーがあると便利だと考えています。

 

※なお筆者はスイッチャーについては「ATEM mini pro」、記録するのにUSB-C端子がふさがる可能性を想定してHDMIキャプチャーの「UVC-01」を導入しています。ちなみにこの記事の時点では「録画配信」をメインにしており「生配信」の本格的な運用には至っておらずシミュレーション段階なので、とりあえずソラミミとして聞き流してください。また後日報告します。

 

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このサイトでは「アクセストレード」との提携により「サウンドハウス」のバナーを掲載しています。


www.soundhouse.co.jp

 

 

「日本ブランド」にこだわってみる

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音響を扱うメーカーは世界各国にあり、アメリカ、ドイツ、イギリス、最近は東欧やオーストラリアのメーカーも知られるようになってきています。筆者は最近ロシア製のマイクでの録音も経験しています。特にドイツやイギリスのブランド力は高く、高級機材になればなるほど両国の存在感が大きくなります。(どのメーカーもかなりの割合で「中国製」というのも別の意味ですごいですが…)

 

一方、日本のメーカーも数多くのブランドを展開しています。代表的なものでは

 

YAMAHA (ヤマハ
SONYソニー
audio-technicaオーディオテクニカ
TEACティアック) ※業務用機材のブランド名はTASCAM(タスカム)
Roland (ローランド)
ZOOM (ズーム)
CANARE (カナレ)

 

などがあり、いずれも世界的に知られているブランドです。予算があるとつい、ドイツやイギリスのメーカ-の機材を揃えてMacで作業して…というのが上位クラスと考えがちですが、あえて日本のメーカーで揃えてみる、というのも面白いかもしれません。

 

なぜなら、これらのメーカーは前回の記事に登場した「クラシックプロ」「ベリンガー」の「次に安い機材」を多数出していて、言い換えれば「ものすごくコスパがいい」機材の宝庫だからです。

 

それぞれのメーカーの2020年時点での音響機材部門での主力商品と思われるものは、

 

YAMAHA鍵盤楽器・スピーカー・ミキサー
SONY  → カメラ・ヘッドホン・PCMレコーダー
audio-technica → マイク・ヘッドホン
TASCAM → オーディオインターフェ―ス・ミキサー・PCMレコーダー
Roland鍵盤楽器・オーディオインターフェ―ス・映像中継器
ZOOM →  各種レコーダー・エフェクター
CANARE → マイクケーブル・スピーカーケーブル
CLASSIC PRO → 各種スタンド

 

いずれも「ライブ」「レコーディング」「動画配信」の重要な部分の機材ばかり、国内メーカーだけで十分かも、というラインナップです。ちなみにスタンドを揃えるために「クラシックプロ」をしれっと加えてみました。

 

音左右衛門的 国内メーカーの機材の選び方

 

YAMAHA

言わずとしれた世界的楽器メーカー。「CUBASE」で知られるスタインバーグを買収してDTM(デスクトップミュージック)の世界でもかなりの存在感を放っています。モニタースピーカー「MSP」シリーズはフラットでとても聴きやすいです。配信用のミキサーは2020年9月時点でも入手困難の状況が続いていますが、最近ではオンラインセッションのツール「SYNCROOM」をリリースして、音声通話でどうしても発生するレイテンシ(遅延時間)を解消。最新のニーズにこたえ続けるのも強みです。

 

 

SONY

SONYも言わずとしれた大企業。チャレンジ精神の塊という印象で、音響関係だけでもベータ、MD、そしてウオークマンと、市場では「勝者」「敗者」のどちらも味わうことになるほどの足跡。音響機材としてはモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」が世界標準。2019年のNHK紅白でほとんどの出演者が最新の「イヤモニ」を装着する中、松任谷正隆さんがソニーのヘッドホンをがっつり使う姿が際立ちました。2020年夏にはデジタルカメラ35機種以上をパソコン上でwebカメラ化できるツール「Imaging Edge Webcam」を無料公開しています。

 

 

audio-technica

レコード再生のカートリッジ(針を含むユニット)の開発からスタート。マイクやヘッドホンが高い評価を得て、海外の並み居るメーカーにも引けをとらない音響メーカーです。筆者も子どものころからaudio-technicaのマイクやヘッドホンに親しみ、最も長く愛用しているメーカーの1つです。御茶ノ水にあるスタジオで録音して、開発中のマイクのフィードバックに使ってもらったのはちょっとした自慢です。

 

TASCAM

世界初のカセットMTR(マルチトラックレコーダー)を開発したメーカーとして知られるTASCAMTEACの業務用機材部門)。ホールや会議室、スタジオにあるTASCAMの機械を操作した経験も多いのではないでしょうか。最近はオーディオインターフェイスやPCMレコーダーも積極的にリリース。もしオーディオインターフェイスとして古くなっても、パソコンと切り離して「マイクプリアンプ」として使用できるのも魅力です。

 

ミキサー・オーディオインターフェ―ス・マルチトラックレコーダーを一体化させた「Model」シリーズはMTRの遺伝子をフルで受け継いでいるような存在感。カラフルな配色のつまみは、父が所有していたカセットのMTR「ポルタ・ワン」を思い起こさせるものがあります。最近は配信用ソフトにも対応し、音声出力を0~2000ms(2秒)まで遅らせて映像との音ズレを解消できる機能を備えました。

 

Roland

ローランドは世界初のUSBオーディオインターフェ―ス「UA-100」や、小型のリニアPCMレコーダーの先駆けとなる「R-09」など、歴史に残る製品を開発してきたメーカーですが、それぞれのシェアを競合他社に奪われてしまった感があり寂しいところ…それでも長年愛されるキーボードやアンプのラインナップが充実、最近は配信用機材にも力が入っています。個人的にヒットだと思うのが小型のギターアンプモバイルキューブ」 。生音に近いけどしっかり増幅できて、アットホームなライブ会場や稽古場に持ち込むには最強のアイテムかもしれません。

 

ZOOM

同名のオンラインミーティングのアプリよりもずっと前から、音響の世界で活躍してきた「ZOOM」、どこでも録れる「フィールドレコーディング」でその本領を発揮しています。PCMレコーダーの「Hシリーズ」、良い音声で映像を録れるレコーダーの「Qシリーズ」などを発表してきました。他のメーカーに先駆けてUSB3.0接続低価格オーディオインターフェイス※をいち早くリリースしたり、「Qシリーズ」をWebカメラとして配信機能をもたせるなど、かゆいところに手が届く、ありがたい存在です。

 

USB3.0接続の世界初はRMEの「MADIFACE XT]といわれていますが価格は約30万(!)ZoomのオーディオインターフェイスUAC-2」はその10分の1以下の価格です

 

CANARE

カナレのマイクケーブルは国内では圧倒的シェアを誇っています。業務用機材がこの価格で手に入るのはとても大きいです。ケーブルはまさに音の響きを伝える水道管であり血管。ノイトリック製のコネクターとの組み合わせが定番で、何と言っても10年以上使っても衰え知らず。何本あっても困ることはありません。

 

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このサイトでは「アクセストレード」との提携により「サウンドハウス」のバナーを掲載しています。

「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」の選び方

小規模なライブ会場にあるPA機材を操作したり、知り合いにボランティアで音響をやってもらったことがある方の多くは、「ベリンガー」や「クラシックプロ」製の機材に触れた経験があるのではないでしょうか。もちろん、すでにお使いの方もいると思います。ちなみに筆者は「ベリンガー」は持っていませんが、「クラシックプロ」製の機材をいくつか使用しています。

 

「クラシックプロ」はこの「音左右衛門のソラミミ」でもバナーを貼っている「サウンドハウス」のプライベートブランド名です。したがって「サウンドハウス」以外では販売しておらず、検索して他に出てくるのはオークションサイトくらいです。一方「ベリンガー」は30年ほど前にドイツでスイス出身のユーリ・ベリンガーにより設立。当初から低価格の音響機材を制作・販売していたようです(by Wikipedia)。

 

両者に共通しているのは徹底したコストカット。中間マージン?などを極力おさえているらしく、ベリンガーに至っては自社ホームページの日本語サイトも翻訳機能を「Google先生」に丸投げするという徹底ぶり。ちなみにベリンガーは起業のきっかけとして「100ドルの原価のものが1,000ドルで売られている」ことに問題意識を持っていたようです(by Wikipedia)。

またクラシックプロは察するにベリンガーの製品傾向を踏まえているとも考えられ、その証拠に「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」だけで、ライブPAや音楽制作に関するかなりの部分の機材をほぼ揃えることができます。これはかなり驚異的なことです。

 

「じゃあ、これでいいじゃん」で終わってしまいそうですが…筆者としては、「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」は、「第一の選択肢」としてはおすすめしていません。これは好みの問題ですが、より高いクラスの機材を一度でも使ってしまうと、やはり「コストを削った機材」という印象になってしまうからです。

 

それでも、この価格の安さは決して侮れません。以前の記事で「ライブ」「レコーディング」「配信」それぞれで必要と思われる機材のリストを出してみましたが、


「ライブ」に必要なもの
ダイナミックマイク
・ミキサー (複数のマイクを入力して音質を調整、スピーカーに出力)
・スピーカー (スピーカーによりスタンドも必要)
・モニタースピーカー (会場の大きさによります)
・マイクケーブル・電源ケーブル
・マイクスタンド、各種楽器スタンド
・ICレコーダー&ビデオカメラ (記録する場合)
「レコーディング」に必要なもの
コンデンサーマイク
・マイクプリアンプ (とりあえずなくても可)
オーディオインターフェース (パソコンにつなぐのに必要)
・パソコンまたはiPad
・マルチトラックレコーダー(オーディオインターフェースやパソコンを使わず録音すつ場合)
・編集ソフト
・マイクケーブル・電源ケーブル
・マイクスタンドなど
「音楽のライブ配信」に必要なもの
超シンプルなシステムで組む場合
スマホ
それ以外の場合
・ビデオカメラ
・キャプチャー
・スイッチャー
オーディオインターフェース
・パソコン (1~2台)
エンコーダー(ストリーミングソフトなど)
・照明
HDMIケーブルなど各種ケーブル
・マイクなど、 「ライブ用」「レコーディング用」の機材を適宜
・ネット環境(wifi、できれば光回線の有線LAN)


これらをそれぞれの有名メーカー、あるいは「定番の高額な機材」で一気に揃えようとすると、場合によっては「音左右衛門、車を買う。」クラスの予算になりかねません…。実際に、「小規模なライブ会場」…例えばライブ専門のスペースでなく、もともと飲食店やダンススタジオだったり、数週間に1度だけライブ会場として使われるような多目的スペースであれば、高額な機材はむしろコストに見合わずアンバランスです。飲食店やダンススタジオは他の「毎日使う部分」にこそ予算を使わなければならないからです。

 

なので、「この予算でこの機材が買える」という安心感、「持っている機材が事情で使えなくなり、来週必要だけどすぐに買い替える余裕がないときに助かる」ある種のセーフティーネットとして、「クラシックプロ」「ベリンガー」というのはとてもありがたい存在なのです。失礼を承知で言えば、音響界の「ダ〇ソー」「セ〇ア」と言えるでしょう。

 

あるいは、

「ちょっとあのメーカーのコピーっぽいけど割り切って使おう」
「使い倒して機材を覚えるために買おうかな」
「でも、ん?あと1万足したらもっといい機材買えるかも」…

と思わせるサウンドハウスの広告戦略なのか…とも考えてしまう今日この頃です。

 

ベリンガーを買うとしたら

BEHRINGER ( ベリンガー ) / XENYX 502 アナログミキサー

BEHRINGER / MONITOR2USB モニターコントローラー

BEHRINGER / POWERPLAY P2 イヤーモニターアンプ

ベリンガーはミキサー~スピーカーの間の製品群が豊富で、まさに「かゆいところに手が届く」メーカー。例えばライブで自分の手元に置くミキサーや、イヤーモニターをつなぐ器具などは評価が高そうです。

 

クラシックプロを買うとしたら


CLASSIC PRO / CAR900 リフレクションフィルター

CLASSIC PRO / MSST/BLACK ショートブームマイクスタンド

CLASSIC PRO / MSB/BLACK ブームマイクスタンド

CLASSIC PRO / AXS212 (変換プラグ)

 

クラシックプロは、個人的には+αで必要なものがすぐ手に入る点で重要な存在。安価で軽量なスタンド、ケーブルの変換プラグなど、「マイク周り」で力を発揮します。

 

もちろん、予算や数量に応じて

・マイク、ミキサーなど → BEHRINGER
・スピーカー、ケーブルなど → CLASSIC PRO

を選ぶのも充分ありです。そして現場でもしこれらの機材を使うことになっても、「ベリンガーか…」「クラシックプロか…」とは思わず、大事に使いたいものです。

オーディオインターフェイスは「消耗品」なのか

オーディオインターフェイスというのは、「パソコンにつないで、音の出入りを管理・調整する機材」です。パソコンでレコーディングするには必須の機材、配信に関してもかなりの部分で必要になります。

 

ライブでもパソコンの音でカラオケ音源を流して生演奏と合わせる「同期演奏」に用いられます。ライブ映像で、「バンドメンバー4~5人で演奏しているけど、CDに入っているストリングス(バイオリンなど)が聴こえる」場合はほぼ「オーディオインターフェイス」が使われているといっていいでしょう。

 

オーディオインターフェイスのここ数年のリリースのスピードはかなり早いです。なぜなら、マイクとの接続については、「マイクプリアンプ(増幅する装置)」のアップデート程度でそれほど大きな変化がありませんが、パソコンとの接続については、パソコンの環境の変化に合わせ続けなければならないからです。

 

ちなみに私が2005年ごろに初めて買ったオーディオインターフェイスEDIROLRoland)の「UA-25」という機種でした。エントリークラスでしたが当時単体で25,000円くらい、この時は音楽制作ソフト「SONAR5」とのセットで買ったので60,000円くらいだったと思います。

 

この機材、パソコンとの接続はなんと「USB1.1」、同じ時期に出ていたFirewireIEEE1394互換?)接続の「UA-66」やUSB2.0接続の「UA-101」もありましたが、2020年現在、Windows10で動くのは「UA-101」のみ、MacではmacOS 10.10以降はサポート対象外という状況になってしまいました。

 

また「UA-66」が接続できるようなFirewire (Mac)、IEEE1394Windows)の端子がついているWindowsPCやMacは今は売られていませんし、Firewire対応のインターフェイスについてはRMEFirefaceシリーズの一部機種が最後の砦になっています。昔はおそらく業界標準だった、デスクトップのパソコンPCIポートに直接挿す「サウンドカード型」はすでにレガシーとなっています(これもRME等が販売中)。

 

ちょっと調べたところ、「世界初のUSBオーディオインターフェイス」といわれたRolandの「UA-100」が出たのが1998年、「世界初のUSB2.0」が2003年の「UA-1000」だそうなので、そもそも歴史は新しいはずです。それがたった10数年で「Thunderbolt3」や同じ形状の「USB-Type C」が主流になって、USB3.0すら「変換ケーブル」で接続する時代になってしまうとは…。

 

パソコンで音楽制作をしようとする場合、オンラインゲームをするほどのスペックは必要ありませんが、それでも10~20万はかかります。これからはもっと動画編集ができるようなスペックも求められるでしょう。ただ「速い、快適な」パソコンも2年もすれば「遅い、重い」状態になり、5年後には使えるソフトや周辺機器がその時点での最新OSには対応できず場合によっては総入れ替え、なんてことも…。

 

コンピューターの市場は「史上もっともパワフルな」新製品を買わせるために、ハードウェアもソフトウェアも旧製品は容赦なく切り捨てていく世界です。「オーディオインターフェイス」はいつもその修羅の世界の入り口に立っています(大げさ)。もちろんOSを更新しなければ、パソコンが動作する限り「延命」は可能ですが、セキュリティーなど維持は大変です。長年使ってきたパソコンをネットにはつながず「音楽制作専用」にしている方もいるようです…。

 

音左右衛門的 オーディオインターフェイスの選び方

さて、とても長い前置きでしたが…オーディオインターフェイスをこれから買うとしたら、ある程度WindowsMacの動向を見極める必要があります。

 

接続方法については、USB2.0はまだしばらくは使えると思うのですが、「Thunderbolt 3」や「USB-Type C」は今後、同じ形状で互換性の高い「Thunderbolt 4」や「USB4」に統一されていくようです。つまり、Macなら「Thunderbolt 3~4」、Windowsなら「USB Type-C」または「USB2.0~3.2 Type-A」接続の機材が、2020年時点で「わりと長持ちする機材」になるといえます。Windowsでも、高いノートPCはThunderbolt端子を装備したものがあります。

 

そして「OS」の問題もあります。オーディオインターフェイスの新機種をどんどん出して最新のOSに適合させるメーカーも魅力的ですが、その分古い機材が早くサポート終了になりOSのアップデートについていけない可能性もあります。音の良さが一番ですが、ドライバの信頼性も大事です。ただし、古くなった時にパソコンにつながなくても「マイクプリアンプ」として動作する機材なら、別の意味での「資産価値」もあると思います。

 

まずは、自分が最初のオーディオインターフェイスとして選ぶとしたら、というイメージで選びました。他の方の「○○年最新版」の紹介記事とはかなり異なるラインナップかもしれません。(2021.6.5更新)

 

TASCAM(タスカム) / US-2×2HR(USB Tyoe-C 接続 USB2.0互換)iOS対応


STEINBERG ( スタインバーグ ) / UR22C (USB Tyoe-C 接続 USB3.0互換)iOS対応


PRESONUS ( プレソナス ) / Studio 26c (USB Tyoe-C 接続 USB2.0互換)iOS対応

 

SOLID STATE LOGIC ( ソリッドステートロジック ) / SSL2+ (USB Tyoe-C 接続 USB2.0互換)

 

もし初めてオーディオインターフェイスを買うなら2020年時点では「コスパ」重視の機種としては上記5つが良いんじゃないかな…と思いました。USB-TypeC 接続に対応、従来の形状である「Type-A」接続のケーブルが両方付属しています。それぞれ音楽制作ソフトのライトバージョンも付属していて、「どのソフトで音楽制作を始めるか」というのも判断基準になると思います。パソコンの動作環境にもよりますが、モニターしたり音を重ねて録音したりする際にレイテンシー(音の遅延)が発生しにくく、ドライバもOSに合わせてアップデートし続けています。

 

ちなみにSSL以外の4機種はiPadなどiOSの端末に接続可能で (Lightning端子の場合はApple純正のUSB3カメラアダプタを使います)、マイク入力は2つ~シリーズによってはマイク4入力、8入力のバリエーションもあります。

さらに「TASCAM」「Steinberg」「PreSonus」は最近のほとんどの機種に「ループバック機能」がついています。例えばパソコンで鳴らした音源に合わせて歌う場合に音ずれがなく、ライブ配信をする際に便利な機能です。

 

なお、オーディオインターフェイスで検索すると人気の高い「Focusrite」についてはコスパ・デザインとも魅力的ですが、現行機種でループバック機能がついているのは「Scarlet 4 i 4」以上のグレードで、現状ではDAW(音楽編集)ソフト上のみで動作、配信ソフトには対応していないようです。レコーディングまたはライブをメインにする方向けのインターフェイスだと思います。

SSL」と「TASCAM」はパソコンをつないでいなくても単体のマイクプリアンプとしてミキサーの拡張やDI、ファンタム電源としても使うことができます。 

 

続いては10万円台の上位クラスの機種です。

 

RME ( アールエムイー )  / Fireface UCX II  (2021年8月発売予定

 

RME ( アールエムイー ) / Babyface Pro FS

※筆者使用

 

UNIVERSAL AUDIO  / APOLLO TWIN X DUO (Thunderbolt3)

 

ANTELOPE AUDIO / Discrete 4 Synergy Core (Thunderbolt2 / USB2.0


もし安いオーディオインターフェイスを使っていて、アップグレードを検討するなら、思い切って高い機材にシフトした方がいいかもしれません。安い機材ほどサイクルが早く、2~3万の機材を数年でとりかえるより、高い機材で長くサポートしてもらう方が得策かもしれませんし、何よりグレードの違いを感じます。

 

RME」のFirefaceシリーズは業界標準のオーディオインターフェイスを販売するメーカーのひとつで、2009年発売のUC、2012年発売のUCXと高い人気を誇ってきたレジェンド機材。満を持して後継機となる「UCX Ⅱ」が発表(8月発売予定)となりました。また持ち運べるオーディオインターフェイスとして人気の高い「Babyface」は3代目となる「pro FS」が2020年にリリース(筆者愛用)。「持ち運び」といいつつ機能は全部入り。古いOSにも対応しつつドライバもアップデートし続けています。RMEは制作用だけでなく音楽鑑賞用としても使う人が多いとか。

 

 

MacとThunderbolt3の組み合わせなら「Universal Audio」を選ぶ人が圧倒的に多い印象があります。何と言ってもUADプラグインエフェクターモデリングのソフト)の数が尋常ではありません。最近はWindows対応の製品もリリースしてますが、WindowsでThunderbolt3を使うためにはまだまだ環境の整備や投資(端子が付いているPCの購入やIntel CPUの自作PCの制作等)が必要で、既存のUSBにつなぐなら、2020年にWindows専用としてリリースされた「APOLLO SOLO USB」が選択肢になるかもしれません。

 

あと最近注目されているのが「Antelope Audio(アンテロープ)」というメーカー。マイクで録音したときの音質やモデリング(ビンテージのマイクやプリアンプのサウンドを再現する技術)の評価がとても高く、RMEやUniversal Audioから乗り換えてくる人もいるとか。良さはおそらく三者三様なので、この3つのメーカーが今後リリースする製品にも注目です。

 

ミキサー 兼 オーディオインターフェイスという選択肢

 

視点を変えて、オーディオインターフェイス機能のついた「ミキサー」にする、という選択肢もあります。これなら「ライブ」「レコーディング」「配信」に必要な機能のかなりの部分をカバーすることができます。

 

YAMAHA ( ヤマハ ) / AG06 ウェブキャスティングミキサー


Soundcraft ( サウンドクラフト ) / Notepad-8FX アナログミキサー


TASCAM ( タスカム ) / Model12 レコーディングミキサー

※筆者使用

 

MACKIE ( マッキー ) / ProFX6v3

※筆者使用

 

特にYamahaの「AG06」はウェブキャスティングミキサーの名前の通り配信機能に特化しています。iPadiPhone(USBカメラアダプタ接続)でも配信可能。もちろんミキサー、オーディオインターフェイスとしての機能があります。Soundcraftの「Notepad-8FX」やTASCAMの「Model12」も、これにマイクとパソコンかiPhoneがあれば配信可能な環境を構築できるといわれています。さらに「Model12」の場合はマルチトラック録音(パソコンやSDカードに各楽器のトラックごとに音声データを別々に記録)できるので、かなり魅力的です。MACKIEのミキサーは現状ではiOSに直接つなぐことはできませんが、最新型のProFX v3シリーズはもともと上位クラスに搭載されていた「ONYXマイクプリアンプ」が入っており、先日このミキサーを使ってギター演奏の動画用の音声を録ったところ、かなりいい音で録音できました。

 

 

ただしこうしたミキサー型のオーディオインターフェイスも、テレワークや配信の世界的な需要の高まりで全体的に品薄の状態が続いています。うっかり転売品や付属ソフトが使えない中古品をつかんだりしないように注意して選ぶようにしてください。

 

※追記 

WindowsについてはIntel搭載の上位モデル「Evoプラットフォーム」にthunderbolt4(USB-type C接続)端子を装備した機種が各メーカーから発売されています。一方MacはOS11 Big Surへアップデート、CPUもintelに代えてApple自社開発の「M1チップ」搭載の機種に更新されています。オーディオインターフェイスによっては最新のPCのシステムにまだ対応していない場合がありますので、各メーカーのホームページなどをご確認ください。

ミキサーの「ループバック機能」については各機種によって方法は異なりますが可能です。もともと配信に特化したYAMAHAのAGシリーズには「LOOPBACK」という切替スイッチがついています。筆者がソロライブ用に購入したMACKIEのProFXシリーズはどちらかというとライブ寄りのモデルなので、USBのセッティングにはいくつかの手順が必要です。(こちらのリンクに設定方法が書いてあります)

Model12は非常に多機能なので使用方法を覚えるのが大変ですが、チャンネルごとに「Live(マイク/ラインに入る音)」「PC(PCからの音)」「MTR(本体で録音した音」に切り替えることができます。ループバックを使わないで配信する場合、ミキサーとパソコンの距離が離れている場合は、オーディオインターフェイスとしてではなく、本体で録音した上で、従来のミキサーと同じようにステレオ(L・R)で出力して別のオーディオインターフェイスにつないで配信する、という方法が意外とシンプルで有効かもしれません。配信についてはまた別の機会に記事を書きたいと思います。

コンデンサーマイク 最初の1本

前の記事では「ダイナミックマイク」について書いてきましたが、これと並んでポピュラーなのが「コンデンサーマイク」です。両者の違いをちゃんと書こうとするとすごく長くなる(そして専門家でないのであまりうまく説明できない)ので簡単に説明します。

 

マイクの中には「ダイアフラム」という振動板があって、音が入ってくると振動版と「あるもの」が作用して電流が発生、音を電気信号に変換して取り込むのですが、その「あるもの」が、ダイナミックマイクコンデンサーマイクで異なります。

 

ダイナミックマイク  ムービングコイル(磁石)を使って変換
コンデンサーマイク  コンデンサー(蓄電する電子部品)を使って変換

 

コンデンサーマイクには文字通り「コンデンサー」という電子部品が入っていて、これを作動させるためには電源が必要となります。マイクによっては電池を入れて駆動させるものもありますが、多くのマイクは外部から電源を供給する必要があります。マイクの次につなぐ機材(マイクプリアンプ、ミキサー、オーディオインターフェースなど)についている「+48V」と書いてあるスイッチ、いわゆる「ファンタム電源」がそれです。

 

全体的にダイナミックマイクに比べてコンデンサーマイクの方が繊細な音まで拾いやすいので、「いい音」「性能が良い」と感じる場面が多いと思います。ただしその分、周囲の環境の影響も受けやすく、楽器の音だけでなく雑音・ノイズも拾いやすいです。

 

また取り扱いにも注意が必要です。コンデンサーマイクには、ダイナミックマイクほどの耐久性はありません。あとライブハウスに持ち込んで「ここのセッティングを変えた方がいいね」と、うっかりファンタム電源を入れたままマイクをケーブルから外したりつけたりすると壊れます。

 

ちょっといいコンデンサーマイクを買うと、専用のケースにクッションが敷き詰められているので、衝撃に弱いマイクであることが一目で分かります。一定の温度、湿度、静粛性が保たれている録音スタジオやコンサートホール向き、または「宅録」自宅録音用といえるでしょう。

 

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AKG「C214」の場合、頑丈なケースを開けるとマイクがしっかりとクッションに収まっています。ウインドスクリーン、マイクスタンドに取り付けるショックマウントが付属。

 

「ラージダイヤフラム」か「スモールダイヤフラム」か

 

次に、コンデンサーマイクの中でもいくつか種類があります。大きく分けて「ラージダイヤフラム」「スモールダイヤフラム」「ハンドヘルド」「ラべリア」などがあります。「ダイヤフラム」は最初に書いた「振動板」、いわば音を感知する「センサー」のようなものです。大きいセンサーと小さいセンサー、それぞれにメリットがあります。デジタルカメラのセンサーに例えるなら、大きいセンサーほど画質が良い、小さいセンサーならよりズームがきく、といった具合です。

ラージダイヤフラム…ボーカル、管楽器、弦楽器向き
スモールダイヤフラム…打楽器、弦楽器、管楽器向き

ざっくり分けるとこういう分類になるでしょうか。用途の中に「声の録音」が入るならラージダイヤフラム、「打楽器」を録る可能性があるならスモールダイヤフラム、というのが目安になるでしょう。

 

ラージダイヤフラムのコンデンサーマイクはボーカルのレコーディング風景の映像などでもよく見るマイクです。感度が良い分、重低音、超高音、アタック音を拾うのがやや苦手という性質があるそうです。つまり人の声や管楽器を少し離れたところから録るのがポピュラーな使い方になります。口からの飛沫がかからないよう、できればポップガードがあった方がいいでしょう。ピアノやギターもだいたい大丈夫ですが、サイズが大きいのでコンサートで使うとかなり目立ちます。

 

一方スモールダイヤフラムはラージダイヤフラムほどの感度はありませんが、その分低音から高音まで安定して収音ができ、アタック音にも強いので、近接で弦楽器を録音したり、離れたポジションでドラム、打楽器の音を収録したりします。小型なので2本並べてステレオでも録りやすく、コンサートで使っても目立ちません。ステレオ録音用に2本組み合わせた「マッチドペア」として売られているものもあります。

 

「ライブ向け」のコンデンサーマイク

 

「ラージダイヤフラム」「スモールダイヤフラム」のマイクとは別に、よりライブ使用に対応できるコンデンサーマイクもあります。「ハンドヘルド」や「ラべリア」と呼ばれるマイクです。「ハンドヘルド」は、前回紹介したダイナミックマイクとほぼ同じ形状で、手に持って使えるマイク、「ラべリア」は超小型なので楽器にとりつけたり、ヘッドセットとしてボーカルに使います。それぞれワイヤレスタイプもあるので、ポップスのアーティストがライブ等のパフォーマンスで使っているのはだいたいこの種類のマイクです。

 

コンデンサーマイク」は「ダイナミックマイク」よりはるかに選択肢が広く、価格帯も1万円台~数十万円台と様々なので、「1本」を選ぶのは正直困難です。用途をはっきり決めて買うのがおすすめです。今回はコスパの良さそうな価格帯(=お値打ち品)~それぞれのプロユースの定番と考えられるマイク(=欲しいマイク)から、いくつか書いていきます。

 

ラージダイヤフラム

audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT2035

 

AKG (アーカーゲー)C414系

C214 C314 C414 XLS C414 XLII

 

NEUMANN ( ノイマン ) / U87Ai

 

最初の1本はオーディオテクニカの「AT2035」またはAKG(アーカーゲー)の「C214」がおすすめです(私も両方使っています)。テクニカのマイクはフラットで高品質なので、声もギターも「そのまんま録ってくれる」印象があります。エントリークラスの2000番台、ミドルクラスの4000番台、フラッグシップの5000番台まであります。

 

AKGのマイクは対照的に高音がきらびやかな印象。C414にはXLII(金色)とXLS (銀色)の2種類があって両方レコーディングで使用したことがあります。金の方がより高音がはっきりと、銀は比較的フラットで芯がある印象でした。自宅で使うなら414をベースに機能(指向性の切り替え)を絞って素材もやや廉価にしたC214やC314でも十分いけると思います。比較的小型で取り回しがいいのも魅力。

 

そして、いつかは「ノイマン」。業界標準にして最高峰の1つであるノイマンU87Aiはコンデンサーマイクの代名詞的存在。かなりの数の音楽スタジオやミュージシャン、クリエイターの「資産」となっています。そしてこの「ハチナナ」、他のメーカーによる「インスパイア系」「オマージュ系」「モデリング系」「コピー系」マイクは数知れず。「ラージダイヤフラム」を探すときは常にこのマイクの影がちらつきます。

 

スモールダイヤフラム 

sE ELECTRONICS ( エスイーエレクトロニクス ) / SE8

sE ELECTRONICS ( エスイーエレクトロニクス ) / SE8 pair

 

NEUMANN ( ノイマン ) / KM184

NEUMANN ( ノイマン ) / KM184 STEREO PAIR

 

スモールダイヤフラムはいわゆる「ペンシル型」。私は持っていないので最初の1本はこれから買うとしたらの話ですが、もし予算が許せばノイマンの「KM184」一択です。先輩のマイクで録音して感動しました。小さなマイクからは想像できない音色のボディの厚さと温かさ、自分のCDも含めて4~5作品ほどはこのマイクで録音しています。

KM184はU87Ai同様、他のメーカーが出している多くのコンデンサーマイクの「お手本」的存在といえるでしょう。ただペアで買うとなると現状ではさすがに高いので迷います…。今の自分の予算的順番としてはおそらくノートパソコンが先に必要になるので、他のマイクも探しているのですが、SE8が一番気になる存在でした。184はさすがにライブでは使いづらいですが、SE8なら持ち出しやすそう…。

 

※2021.5.18追記

おかげさまでKM184を購入しました(ペアではなくシングル)。質感が素晴らしいのは言うまでもなく、収音範囲が狭い分周囲の雑音やノイズを拾いにくいので、出力の小さいガットギターには最高です。ただ付属のマイクホルダーが硬くやや窮屈なので先輩にならって別のマイク用のサスペンションホルダーを購入して使っています。

 

ハンドヘルド

audio technica (オーディオテクニカ) AT2010

 

SHURE ( シュアー )  BETA87A

 

SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / E965

 

ハンドヘルドのコンデンサーマイクはライブでの使用を前提として作られており、ポップガードがなくてもフィルターがあるので、湿気管理をきちんとして丁寧に扱えばダイナミックマイクと近い使い方ができます。AT2010はSHURESM58とほぼ同じ値段で、トークを録音するならこれがおすすめ。私はこれでオンラインレッスンやライブ配信をしています。

 

BETA87Aは数回現場で使わせてもらって、さすがの伸びでした。ただ自分で買うなら、使ったことはないけど思い切ってゼンハイザーのE965、という選択肢も妄想してみます(まさにソラミミ)。

 

※2021.5.18追記

おかげさまでSENNHEIZER「E965」を昨年末の半額セールにて購入し「ソラミミ」ではなくなりました。感度はあえて抑え目なので近接で使用できて、周囲の音をしっかり遮断してくれます。解像度の高さに驚きます。ただし、近接で録るということは声以外の口内や喉の音も入るということなので注意も必要です(汗)

 

ラべリア (ギター用)

audio technica ( オーディオテクニカ ) / AT831b

 

DPA ( ディーピーエー ) / 4099 シリーズ (ギターセット)

 

ギタリストなので、ラべリアマイクはギター用のみ掲載。AT831bはいつも持ち歩いているマイクです。国産なのですが、海外用のものを「逆輸入」していて、国内では現在サウンドハウスのみで取り扱っています。音が良くて安心して使えますが、ライブの本数が多かったころは年間100日以上の出動で3~4年でヘタってしまったので、前身のATM15aというマイクから数えて5代目になります。DPAPA業者さんの間ではすっかり標準装備で、さすがの品質。「4099」はほぼすべてのアコースティック楽器用に調整されたものが出ていて、オプションでワイヤレス化もできます。

 

番外編 (入門編)

PRESONUS ( プレソナス ) / AudioBox iTwo STUDIO

 

STEINBERG ( スタインバーグ ) / UR22C Recording Pack

 

FOCUSRITE ( フォーカスライト ) / Scarlett 2i2 Studio Pack

 

いきなり高額のマイクはちょっと…という場合は、廉価なマイクとパソコンに録音できる機材(オーディオインターフェース)、DAW(音楽編集)ソフト、ヘッドホンのセットがおすすめです。実は私もその1人で、以前PreSonus ( プレソナス ) のAudioBox iTwo STUDIOを購入しました(現在も予備機材として所有)。それぞれちゃんとした機材なので制作環境を一気に構築できます。なによりこのメーカーが出しているDAW(音楽編集ソフト)の「Studio one」のおかげで演奏だけでなく制作の仕事を始めることができました。

 

ちなみにPreSonusのオーディオインターフェイスにはすべて「Studio one artist」が付属していて、登録時点での最新バージョンが使用できます。筆者はその後Professionalに3回アップグレード(3→4→5.x)。Prime(無料版)もあり、お試しの使用やリモートでの録音データのやりとりに大変便利です。

 

ところが2020年からの「テレワーク」「リモート」の世界的な特需により、これらエントリークラスの製品は軒並み入手困難になってしまっています。これから導入する場合はあえて上位クラスを検討する、もしくは別の方法で制作環境を作るのがいいかもしれません。また別の記事で書きたいと思います。

 

 

すみません、「最初の1本」というタイトルなのにこんなに長くなってしまいました。ただ、それだけ時間をかける価値のある項目である、と自分にも言い聞かせています。かなり「好み」の領域にも入っているので、もしこれまでに使ったことがある場合はその感触を基に、自分が好きなアーティストが使っている機材が分かればそれを選ぶのも正解たと思います。

 

他のクリエイターの方も書かれていますが、マイクは「大は小を兼ねる」にも「小は大を兼ねる」にもなるので、これも悩ましいところ。やはり高い買い物ですが、楽器と同じく「資産」になりえるもの。いつか、あのマイクを手に入れたいと思いながら調べるのは、楽しい作業です。

 

最後に、今後の記事にも共通する点ですが、大事なのは予算の配分。前に書いた記事「ライブ用の機材、レコーディング用の機材、配信用の機材」で、必要になりそうな機材の一覧を書きましたが、そろえていくにはある程度「心の見積もり」が必要です。各種機材を持っている方のレビューを読んでいると、みんな高い物、いい物を使っていて、それぞれに10万円単位でお金をかけるのが当たり前だよな…という気分になりがちです。でもちょっと冷静になって、 

「その機材はどのくらいの頻度で使うのか」
「本当にいま自分が欲しい機材、必要な機材なのか」

と今一度自問してみてください。結果的に「衝動買い」することになったとしても、それまでにしっかり考えて悩んでおけば後悔はしません。

 

私も15年ほど前、「あったら面白いかも、そのうち役に立つかも」というあいまいな理由でデジタルミュージックのソフトや機材を買っていたのですが、気が付いたらけっこうな金額になり、しかもほとんど使わないうちに古くなってしまって、もったいないことをしました。その後は自分の現在~少し先の活動に合わせて揃えていくように心がけたら、無駄な買い物はほとんどなくなりました。録音の仕事を引き受けたら買う、という荒技も時々やってます。

なお「楽器とマイク」に関しては、けっこう長い付き合いができるので、もしすごく気に入ったものがあったら、多少無理をしても「欲しいもの」を買って損はないという確信があります。限られた予算で効率よく機材を増やせるように、少しでもお手伝いできればと思っています。

 

※ちなみに「リボンマイク」というのも聞いたことがあると思うのですが、これはダイナミックマイクに近い性質で、ムービングコイルではなくアルミをリボン状に加工したものが入っており、特有の柔らかい音が出ます。「アクティブ型(電源が必要)」と「パッシブ型(電源不要)」に分かれ、またコンデンサーマイクよりさらに取り扱いが難しく、上級者向きのマイクといわれているのでここでは書きません。現状ではダイナミックマイクコンデンサーマイクもたくさん使いこなした上で「古き良き音」として導入するパターンが多いようです。

 

 

ダイナミックマイク 最初の1本

マイクの「最初の1本」を買うとしたら、まずは「ダイナミックマイク」を買うことをおすすめします。コンデンサーマイク(後の記事で紹介)よりも扱いやすく、何より価格帯が狭い(数千円~1万円台)ので導入しやすいです。ただしその分、ライブなら「人数分あったほうがいいな…」となって結局総額が高くなるというオチもついてきますので計画的に。

 

例えばSHURE(シュアー)のSM58というダイナミックマイク、いろいろなライブハウスやホールには必ず常備されていて、PAの業者さんも大量に持っています。「ゴッパー」はいろいろな意味で「世界標準」と言っていいでしょう。発売されたのが1966年だそうなのでなんとその歴史は半世紀以上!

 

その特長はなんといっても耐久性。何度も落としてボコボコになっても、前の人が口元に超接近で使ってても、けっこう大丈夫です。「超接近」というのは今では別のリスクになりますが…。

 

SHUREの耐久性についての記事(公式サイト)

 

によると、「落下、過熱、冷凍、水没、大音量の投入など、思いつく限りの衝撃をマイクに与え続け、プロトタイプを磨き上げていった」とあります。まさにオールラウンダーのマイクなので、1本持っていて損はありません。

 

SM58(ボーカル・トーク・管楽器向き)

SM58S(スイッチ付き)

 

さて、マイクによって「指向性」、音を拾う範囲が異なります。ざっくり分けると

・無指向性 ※全方位
・単一指向性(カーディオイド)
・超単一指向性(スーパーカーディオイド)
・鋭指向性(ハイパーカーディオイド)
・双指向性 ※前と後ろ

に分かれます。ダイナミックマイクの場合は、基本的に正面だけを拾う「単一指向性/カーディオイド」とより横からの音を遮断した「超単一指向性/スーパーカーディオイド」の2タイプが多いです。SHUREの場合、BETA58がSM58に対してより収音範囲を狭くしたマイクで声・ボーカルに特化、音圧が高くきらびやかな印象になります。

 

BETA58A(ボーカル・トーク向き) 

 

SHUREは「楽器向きのマイク」としてSM57、BETA57もリリースしておりこちらも定番。必要に応じて組み合わせるといいでしょう。

 

SM57 (ギター、弦楽器向き)

BETA57A (ギター、弦楽器向き、やや硬め)

 

さて、機材には「定番」があれば、必ず同価格帯に「競合」する製品があります。価格帯が狭いので、性能もかなり近いところで競り合っているのではないかと思います。音色やデザインで比べてみるのも楽しいかもしれません。

 

SHURE SM58、BETA58に競合する製品として思い浮かぶのは

オーディオテクニカ 「AE4100」「AE6100

AKG(アーカーゲー)「D5」「D7

ゼンハイザー 「E835」「E945

 

あたりでしょうか。私はオーディオテクニカの「AE4100」だけ実際に使ったことがあるのですが、とても心地よかったです。

そういえば以前テレビで観た「タモリ俱楽部」での前振り「毎度おなじみ~」で使うマイクを新しく選ぶ企画で、ちょうど今回紹介しているメーカー各社がプレゼンした結果、タモリさんがこのマイクを選んでいたのが印象的でした。私も何本かオーディオテクニカのマイクを使っていますが、全体的に「フラット」な印象、素材(声・音色)をそのまま生かしてくれるマイクが多いと思います。

 

さて、ダイナミックマイクは、野外など過酷な環境でも使用できるよう設計されているので、レコーディング用としては「向いている」とはいえません。もちろんダイナミックマイクでレコーディングする方はたくさんいらっしゃいますし、パソコンに接続するオーディオインターフェイス、またはミキサーやマイクプリなどで増幅すれば音量は十分稼げます。ギターアンプ、ベースアンプで鳴らす音を録音する場合は、高耐圧のダイナミックマイクの方がむしろ合っていると思います。

 

ただダイナミックマイクでの録音の場合、音質は全体的にモコモコしがちなので、それなりの知識と経験がいると思います(そもそもプロのミュージシャンやエンジニアでダイナミックマイクで録音する方はだいたいコンデンサーマイクも併用しています)。むずかしい設定なしに、よりクリアな音を録音したいなら、やはりコンデンサーマイクがいいでしょう。コンデンサーマイクの「おすすめの最初の1本」は次の記事で書いていきます。

 

 

サウンドハウス

この記事はアクセストレードとの提携でサウンドハウスのリンク、バナーを掲載しています