音左右衛門のソラミミ

良き音に、ずっと浸っていたい

「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」の選び方

小規模なライブ会場にあるPA機材を操作したり、知り合いにボランティアで音響をやってもらったことがある方の多くは、「ベリンガー」や「クラシックプロ」製の機材に触れた経験があるのではないでしょうか。もちろん、すでにお使いの方もいると思います。ちなみに筆者は「ベリンガー」は持っていませんが、「クラシックプロ」製の機材をいくつか使用しています。

 

「クラシックプロ」はこの「音左右衛門のソラミミ」でもバナーを貼っている「サウンドハウス」のプライベートブランド名です。したがって「サウンドハウス」以外では販売しておらず、検索して他に出てくるのはオークションサイトくらいです。一方「ベリンガー」は30年ほど前にドイツでスイス出身のユーリ・ベリンガーにより設立。当初から低価格の音響機材を制作・販売していたようです(by Wikipedia)。

 

両者に共通しているのは徹底したコストカット。中間マージン?などを極力おさえているらしく、ベリンガーに至っては自社ホームページの日本語サイトも翻訳機能を「Google先生」に丸投げするという徹底ぶり。ちなみにベリンガーは起業のきっかけとして「100ドルの原価のものが1,000ドルで売られている」ことに問題意識を持っていたようです(by Wikipedia)。

またクラシックプロは察するにベリンガーの製品傾向を踏まえているとも考えられ、その証拠に「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」だけで、ライブPAや音楽制作に関するかなりの部分の機材をほぼ揃えることができます。これはかなり驚異的なことです。

 

「じゃあ、これでいいじゃん」で終わってしまいそうですが…筆者としては、「BEHRINGER」&「CLASSIC PRO」は、「第一の選択肢」としてはおすすめしていません。これは好みの問題ですが、より高いクラスの機材を一度でも使ってしまうと、やはり「コストを削った機材」という印象になってしまうからです。

 

それでも、この価格の安さは決して侮れません。以前の記事で「ライブ」「レコーディング」「配信」それぞれで必要と思われる機材のリストを出してみましたが、


「ライブ」に必要なもの
ダイナミックマイク
・ミキサー (複数のマイクを入力して音質を調整、スピーカーに出力)
・スピーカー (スピーカーによりスタンドも必要)
・モニタースピーカー (会場の大きさによります)
・マイクケーブル・電源ケーブル
・マイクスタンド、各種楽器スタンド
・ICレコーダー&ビデオカメラ (記録する場合)
「レコーディング」に必要なもの
コンデンサーマイク
・マイクプリアンプ (とりあえずなくても可)
オーディオインターフェース (パソコンにつなぐのに必要)
・パソコンまたはiPad
・マルチトラックレコーダー(オーディオインターフェースやパソコンを使わず録音すつ場合)
・編集ソフト
・マイクケーブル・電源ケーブル
・マイクスタンドなど
「音楽のライブ配信」に必要なもの
超シンプルなシステムで組む場合
スマホ
それ以外の場合
・ビデオカメラ
・キャプチャー
・スイッチャー
オーディオインターフェース
・パソコン (1~2台)
エンコーダー(ストリーミングソフトなど)
・照明
HDMIケーブルなど各種ケーブル
・マイクなど、 「ライブ用」「レコーディング用」の機材を適宜
・ネット環境(wifi、できれば光回線の有線LAN)


これらをそれぞれの有名メーカー、あるいは「定番の高額な機材」で一気に揃えようとすると、場合によっては「音左右衛門、車を買う。」クラスの予算になりかねません…。実際に、「小規模なライブ会場」…例えばライブ専門のスペースでなく、もともと飲食店やダンススタジオだったり、数週間に1度だけライブ会場として使われるような多目的スペースであれば、高額な機材はむしろコストに見合わずアンバランスです。飲食店やダンススタジオは他の「毎日使う部分」にこそ予算を使わなければならないからです。

 

なので、「この予算でこの機材が買える」という安心感、「持っている機材が事情で使えなくなり、来週必要だけどすぐに買い替える余裕がないときに助かる」ある種のセーフティーネットとして、「クラシックプロ」「ベリンガー」というのはとてもありがたい存在なのです。失礼を承知で言えば、音響界の「ダ〇ソー」「セ〇ア」と言えるでしょう。

 

あるいは、

「ちょっとあのメーカーのコピーっぽいけど割り切って使おう」
「使い倒して機材を覚えるために買おうかな」
「でも、ん?あと1万足したらもっといい機材買えるかも」…

と思わせるサウンドハウスの広告戦略なのか…とも考えてしまう今日この頃です。

 

ベリンガーを買うとしたら

BEHRINGER ( ベリンガー ) / XENYX 502 アナログミキサー

BEHRINGER / MONITOR2USB モニターコントローラー

BEHRINGER / POWERPLAY P2 イヤーモニターアンプ

ベリンガーはミキサー~スピーカーの間の製品群が豊富で、まさに「かゆいところに手が届く」メーカー。例えばライブで自分の手元に置くミキサーや、イヤーモニターをつなぐ器具などは評価が高そうです。

 

クラシックプロを買うとしたら


CLASSIC PRO / CAR900 リフレクションフィルター

CLASSIC PRO / MSST/BLACK ショートブームマイクスタンド

CLASSIC PRO / MSB/BLACK ブームマイクスタンド

CLASSIC PRO / AXS212 (変換プラグ)

 

クラシックプロは、個人的には+αで必要なものがすぐ手に入る点で重要な存在。安価で軽量なスタンド、ケーブルの変換プラグなど、「マイク周り」で力を発揮します。

 

もちろん、予算や数量に応じて

・マイク、ミキサーなど → BEHRINGER
・スピーカー、ケーブルなど → CLASSIC PRO

を選ぶのも充分ありです。そして現場でもしこれらの機材を使うことになっても、「ベリンガーか…」「クラシックプロか…」とは思わず、大事に使いたいものです。