音左右衛門のソラミミ

良き音に、ずっと浸っていたい

「日本ブランド」にこだわってみる

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音響を扱うメーカーは世界各国にあり、アメリカ、ドイツ、イギリス、最近は東欧やオーストラリアのメーカーも知られるようになってきています。筆者は最近ロシア製のマイクでの録音も経験しています。特にドイツやイギリスのブランド力は高く、高級機材になればなるほど両国の存在感が大きくなります。(どのメーカーもかなりの割合で「中国製」というのも別の意味ですごいですが…)

 

一方、日本のメーカーも数多くのブランドを展開しています。代表的なものでは

 

YAMAHA (ヤマハ
SONYソニー
audio-technicaオーディオテクニカ
TEACティアック) ※業務用機材のブランド名はTASCAM(タスカム)
Roland (ローランド)
ZOOM (ズーム)
CANARE (カナレ)

 

などがあり、いずれも世界的に知られているブランドです。予算があるとつい、ドイツやイギリスのメーカ-の機材を揃えてMacで作業して…というのが上位クラスと考えがちですが、あえて日本のメーカーで揃えてみる、というのも面白いかもしれません。

 

なぜなら、これらのメーカーは前回の記事に登場した「クラシックプロ」「ベリンガー」の「次に安い機材」を多数出していて、言い換えれば「ものすごくコスパがいい」機材の宝庫だからです。

 

それぞれのメーカーの2020年時点での音響機材部門での主力商品と思われるものは、

 

YAMAHA鍵盤楽器・スピーカー・ミキサー
SONY  → カメラ・ヘッドホン・PCMレコーダー
audio-technica → マイク・ヘッドホン
TASCAM → オーディオインターフェ―ス・ミキサー・PCMレコーダー
Roland鍵盤楽器・オーディオインターフェ―ス・映像中継器
ZOOM →  各種レコーダー・エフェクター
CANARE → マイクケーブル・スピーカーケーブル
CLASSIC PRO → 各種スタンド

 

いずれも「ライブ」「レコーディング」「動画配信」の重要な部分の機材ばかり、国内メーカーだけで十分かも、というラインナップです。ちなみにスタンドを揃えるために「クラシックプロ」をしれっと加えてみました。

 

音左右衛門的 国内メーカーの機材の選び方

 

YAMAHA

言わずとしれた世界的楽器メーカー。「CUBASE」で知られるスタインバーグを買収してDTM(デスクトップミュージック)の世界でもかなりの存在感を放っています。モニタースピーカー「MSP」シリーズはフラットでとても聴きやすいです。配信用のミキサーは2020年9月時点でも入手困難の状況が続いていますが、最近ではオンラインセッションのツール「SYNCROOM」をリリースして、音声通話でどうしても発生するレイテンシ(遅延時間)を解消。最新のニーズにこたえ続けるのも強みです。

 

 

SONY

SONYも言わずとしれた大企業。チャレンジ精神の塊という印象で、音響関係だけでもベータ、MD、そしてウオークマンと、市場では「勝者」「敗者」のどちらも味わうことになるほどの足跡。音響機材としてはモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」が世界標準。2019年のNHK紅白でほとんどの出演者が最新の「イヤモニ」を装着する中、松任谷正隆さんがソニーのヘッドホンをがっつり使う姿が際立ちました。2020年夏にはデジタルカメラ35機種以上をパソコン上でwebカメラ化できるツール「Imaging Edge Webcam」を無料公開しています。

 

 

audio-technica

レコード再生のカートリッジ(針を含むユニット)の開発からスタート。マイクやヘッドホンが高い評価を得て、海外の並み居るメーカーにも引けをとらない音響メーカーです。筆者も子どものころからaudio-technicaのマイクやヘッドホンに親しみ、最も長く愛用しているメーカーの1つです。御茶ノ水にあるスタジオで録音して、開発中のマイクのフィードバックに使ってもらったのはちょっとした自慢です。

 

TASCAM

世界初のカセットMTR(マルチトラックレコーダー)を開発したメーカーとして知られるTASCAMTEACの業務用機材部門)。ホールや会議室、スタジオにあるTASCAMの機械を操作した経験も多いのではないでしょうか。最近はオーディオインターフェイスやPCMレコーダーも積極的にリリース。もしオーディオインターフェイスとして古くなっても、パソコンと切り離して「マイクプリアンプ」として使用できるのも魅力です。

 

ミキサー・オーディオインターフェ―ス・マルチトラックレコーダーを一体化させた「Model」シリーズはMTRの遺伝子をフルで受け継いでいるような存在感。カラフルな配色のつまみは、父が所有していたカセットのMTR「ポルタ・ワン」を思い起こさせるものがあります。最近は配信用ソフトにも対応し、音声出力を0~2000ms(2秒)まで遅らせて映像との音ズレを解消できる機能を備えました。

 

Roland

ローランドは世界初のUSBオーディオインターフェ―ス「UA-100」や、小型のリニアPCMレコーダーの先駆けとなる「R-09」など、歴史に残る製品を開発してきたメーカーですが、それぞれのシェアを競合他社に奪われてしまった感があり寂しいところ…それでも長年愛されるキーボードやアンプのラインナップが充実、最近は配信用機材にも力が入っています。個人的にヒットだと思うのが小型のギターアンプモバイルキューブ」 。生音に近いけどしっかり増幅できて、アットホームなライブ会場や稽古場に持ち込むには最強のアイテムかもしれません。

 

ZOOM

同名のオンラインミーティングのアプリよりもずっと前から、音響の世界で活躍してきた「ZOOM」、どこでも録れる「フィールドレコーディング」でその本領を発揮しています。PCMレコーダーの「Hシリーズ」、良い音声で映像を録れるレコーダーの「Qシリーズ」などを発表してきました。他のメーカーに先駆けてUSB3.0接続低価格オーディオインターフェイス※をいち早くリリースしたり、「Qシリーズ」をWebカメラとして配信機能をもたせるなど、かゆいところに手が届く、ありがたい存在です。

 

USB3.0接続の世界初はRMEの「MADIFACE XT]といわれていますが価格は約30万(!)ZoomのオーディオインターフェイスUAC-2」はその10分の1以下の価格です

 

CANARE

カナレのマイクケーブルは国内では圧倒的シェアを誇っています。業務用機材がこの価格で手に入るのはとても大きいです。ケーブルはまさに音の響きを伝える水道管であり血管。ノイトリック製のコネクターとの組み合わせが定番で、何と言っても10年以上使っても衰え知らず。何本あっても困ることはありません。

 

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