音左右衛門のソラミミ

良き音に、ずっと浸っていたい

ダイナミックマイク 最初の1本

マイクの「最初の1本」を買うとしたら、まずは「ダイナミックマイク」を買うことをおすすめします。コンデンサーマイク(後の記事で紹介)よりも扱いやすく、何より価格帯が狭い(数千円~1万円台)ので導入しやすいです。ただしその分、ライブなら「人数分あったほうがいいな…」となって結局総額が高くなるというオチもついてきますので計画的に。

 

例えばSHURE(シュアー)のSM58というダイナミックマイク、いろいろなライブハウスやホールには必ず常備されていて、PAの業者さんも大量に持っています。「ゴッパー」はいろいろな意味で「世界標準」と言っていいでしょう。発売されたのが1966年だそうなのでなんとその歴史は半世紀以上!

 

その特長はなんといっても耐久性。何度も落としてボコボコになっても、前の人が口元に超接近で使ってても、けっこう大丈夫です。「超接近」というのは今では別のリスクになりますが…。

 

SHUREの耐久性についての記事(公式サイト)

 

によると、「落下、過熱、冷凍、水没、大音量の投入など、思いつく限りの衝撃をマイクに与え続け、プロトタイプを磨き上げていった」とあります。まさにオールラウンダーのマイクなので、1本持っていて損はありません。

 

SM58(ボーカル・トーク・管楽器向き)

SM58S(スイッチ付き)

 

さて、マイクによって「指向性」、音を拾う範囲が異なります。ざっくり分けると

・無指向性 ※全方位
・単一指向性(カーディオイド)
・超単一指向性(スーパーカーディオイド)
・鋭指向性(ハイパーカーディオイド)
・双指向性 ※前と後ろ

に分かれます。ダイナミックマイクの場合は、基本的に正面だけを拾う「単一指向性/カーディオイド」とより横からの音を遮断した「超単一指向性/スーパーカーディオイド」の2タイプが多いです。SHUREの場合、BETA58がSM58に対してより収音範囲を狭くしたマイクで声・ボーカルに特化、音圧が高くきらびやかな印象になります。

 

BETA58A(ボーカル・トーク向き) 

 

SHUREは「楽器向きのマイク」としてSM57、BETA57もリリースしておりこちらも定番。必要に応じて組み合わせるといいでしょう。

 

SM57 (ギター、弦楽器向き)

BETA57A (ギター、弦楽器向き、やや硬め)

 

さて、機材には「定番」があれば、必ず同価格帯に「競合」する製品があります。価格帯が狭いので、性能もかなり近いところで競り合っているのではないかと思います。音色やデザインで比べてみるのも楽しいかもしれません。

 

SHURE SM58、BETA58に競合する製品として思い浮かぶのは

オーディオテクニカ 「AE4100」「AE6100

AKG(アーカーゲー)「D5」「D7

ゼンハイザー 「E835」「E945

 

あたりでしょうか。私はオーディオテクニカの「AE4100」だけ実際に使ったことがあるのですが、とても心地よかったです。

そういえば以前テレビで観た「タモリ俱楽部」での前振り「毎度おなじみ~」で使うマイクを新しく選ぶ企画で、ちょうど今回紹介しているメーカー各社がプレゼンした結果、タモリさんがこのマイクを選んでいたのが印象的でした。私も何本かオーディオテクニカのマイクを使っていますが、全体的に「フラット」な印象、素材(声・音色)をそのまま生かしてくれるマイクが多いと思います。

 

さて、ダイナミックマイクは、野外など過酷な環境でも使用できるよう設計されているので、レコーディング用としては「向いている」とはいえません。もちろんダイナミックマイクでレコーディングする方はたくさんいらっしゃいますし、パソコンに接続するオーディオインターフェイス、またはミキサーやマイクプリなどで増幅すれば音量は十分稼げます。ギターアンプ、ベースアンプで鳴らす音を録音する場合は、高耐圧のダイナミックマイクの方がむしろ合っていると思います。

 

ただダイナミックマイクでの録音の場合、音質は全体的にモコモコしがちなので、それなりの知識と経験がいると思います(そもそもプロのミュージシャンやエンジニアでダイナミックマイクで録音する方はだいたいコンデンサーマイクも併用しています)。むずかしい設定なしに、よりクリアな音を録音したいなら、やはりコンデンサーマイクがいいでしょう。コンデンサーマイクの「おすすめの最初の1本」は次の記事で書いていきます。

 

 

サウンドハウス

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